1999年に竣工した『平ヶ崎の家』をご覧になったクライアントから問合せをいただいたのは、2007年1月初旬だった。
クライアントは、日光市(旧今市)で美容室を経営する50代、そして、三世代そろっての理容、美容の技術者である。現役で仕事をなさっているご両親の高齢化に合わせて、近隣の場所に専用住宅の計画を検討しているとのこと。
『三世代が生活を共にし、それぞれの関係を尊重し、ゆったりとした時間が流れる家族』私が感じた家族像である。そんな家族がそっと暮らす家。それがこの住まいのテーマとなった。
敷地は、古い民家、無機質は自動車車庫に囲まれた住宅地の一角である。近隣には、飲食店が建ち並び、夜間の喧騒、防犯に対して建築的な対応が求められた。
外観は、古くからの住宅地であるが故に、できるだけ威圧感のない、優しく人々を招き入れるような、町並みにとけ込む配慮をした。
平面計画は、中庭を中心に東側1階にご両親の寝室を配置し、大屋根を架けた2階に二つの寝室を設け、家族の核となるダイニング、ファミリールームと中庭の関係、ご両親の寝室と中庭の関係には、家族の関係性を強く意識したプランニングを行った。
3つの寝室は、それぞれに住まいのパブリックな部分に開放し、そして閉鎖し、連続性と単独性といった相反する関係を成立させ、そこに、私の感じた家族像を重ね合わせることを試みた。






























